保育園児死亡、傷害致死罪の元保育士の無罪確定 検察が控訴断念
神奈川県平塚市の保育園で2017年、保育中の女児(当時1)を死亡させたとして傷害致死罪に問われた元保育士の女性(49)を無罪とした横浜地裁判決が確定した。控訴期限の30日までに検察側、弁護側双方が控訴しなかった。地裁判決は「女児の死因を確定できず、有罪の根拠がない」としていた。
女性は17年4月、女児の後頭部を複数回たたきつける暴行を加え、頭蓋骨(ずがいこつ)骨折などに伴う外傷性くも膜下出血で死亡させたとして起訴された。21年の逮捕直後に容疑を否認し、公判でも一貫して無罪を主張した。
公判で検察側は、くも膜下出血は第三者による暴行で生じ、「女児がけがをした時間に見守りをしていたのは女性だけ」と主張。弁護側は女児は超低出生体重児で、「ウイルス感染による突然死の可能性もある」などと反論した。
判決は、女児の後頭部に大きな力がかかったとする検察側証人の医師2人の証言は、他の専門家の証言などに照らし、「医学的根拠を欠く」と指摘。死因を確定できないうえ、女児の傷害が生じた時期も女性だけが保育室にいた時間帯とは確定できないとし、無罪とした。
横浜地検の塩沢健一次席検事は「検討の結果、控訴しないこととした」としている。女児が通っていた保育園は「判決確定を区切りとし、改めて身を引き締め、お子様やご家族に安心していただけるよう、また、職員が安心して働ける保育環境の維持・充実に努めてまいります」とコメントした。