第1回膵がんステージ4の医師 ゲノム医療で回復した「自分にできること」

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辻外記子
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 胃のあたりが時折、きゅっと痛む。

 違和感が1カ月ほど続いていたため、太田凡(ぼん)さんは2024年1月4日、大津市民病院で検査を受けた。

 「CTなんですが」。消化器内科の城正泰医師(47)の言葉に「何かあるな」。画像を見てすぐ、太田さんにはわかった。

 「膵臓(すいぞう)にがん。転移もある。厳しいな」

 診断は、肝臓に多数の転移があるステージ4の膵がん。

 看護師である妻(57)が、太田さんのいないところで城さんに余命を聞くと、「半年ほど」と伝えられた。

 太田さんは当時61歳の医師で、京都府立医科大救急医療学教室の教授だ。非常勤をしてきた大津市民病院で治療を受けることにした。

 入院して遺伝性の遺伝子変異があるかを調べる検査をした。

 がんの原因となる遺伝子(ゲノム)の異常な変化が見つかれば、効果が見込める薬を使える。この時は変異は見つからず、標準治療とされる抗がん剤の点滴を1月下旬に始めた。

 副作用で発熱し、手にしびれが出た。食欲は落ち、1カ月で体重は10キロ以上減った。

 春先までは順調な経過だったが、4月に首に血栓ができ、6月には腫瘍(しゅよう)マーカーが上がり始め、脳梗塞(こうそく)にもなった。

 治療法がとぼしかった、ステージ4や完治が難しい難治がん。近年は医療の進化によって回復したり長期間生存ができるようになったりしています。患者自身や医師らが驚くほどの変化や、限界もある現在地を伝えます。

「パネル検査、受けられるなら」

 6月下旬。同級生の消化器外…

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この記事を書いた人
辻外記子
科学みらい部長代理
専門・関心分野
医療・ケア、医学、科学
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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2025年1月31日22時0分 投稿
    【視点】

    私は、身内にがん経験者がいる。そのがんがわかったことをきっかけに、(慌てて)がんはどのような病気なのか、どんな治療をするのか、家族にできることは何かといったことをもっとよく知ろうと努めることになった。それまでにもイメージや知識を正しく持って

    …続きを読む