「年収の壁」130万円超えても2年まで扶養 厚労省検討
パートで働く人らが社会保険料を負担しないよう労働時間を抑える「年収の壁」への対応として、年収が一時的に130万円を超えても2年までは扶養から外れないとする案を厚生労働省が検討していることがわかった。「就業調整」による人手不足の緩和を図る。こうした内容などを踏まえ、岸田政権が月内にも政策パッケージをまとめ、公表する見通し。
配偶者に扶養される人がパートなどで働き年収が130万円を超えると扶養から外れ、国民年金と国民健康保険の保険料を払う。これによる手取り収入の減少を避けるため、働く時間を短く調整しているとされるのが「130万円の壁」だ。扶養された人が従業員101人以上の企業で週20時間以上働き、年収106万円を超すと、自ら社会保険に加入することになる「106万円の壁」とともに、就労を阻む課題の一つとされてきた。
政府の対応策では、一時的な増収で130万円を超えても、2年までは扶養にとどまれると明示する。現行の被扶養認定でも、一時的に年収見込みが130万円を超えても、直ちに認定を取り消さず、将来の年収見込みから総合的に判断するルールとなっている。ただ、十分理解されていない面もあり、政府として具体的に示すことで、周知を図る狙いもある。
パッケージではこのほか、「106万円の壁」を超えることで労働者の手取り収入が減った分を賃上げなどでカバーした事業主に出す助成制度も盛り込み、10月から開始する方針。ただ、いずれも一時的な対応にとどまり、抜本的な制度の見直しは、2025年に予定する年金制度の法改正に向けて検討していく。
- 【視点】
「小手先の政策」とはいうまい。各方面の調整の背景がわかるから。だがそれだけに、わかりにくく微妙すぎて景気浮揚のアナウンス効果はないだろう。 近年の日本の政策は、私見では大きく二つに分かれる。実効的な政策は、わかりにくく微妙すぎて、アナ
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