吉本隆明の「斎藤茂吉」を拾い読みしていたら、吉本が引用している茂吉の短歌に私の字で書き込みがしてあった。40年ほど前に読んだものだから、その頃の書き込みだ。まず、その短歌。
何ぞもとのぞき見しかば弟妹らは亀に酒をば飲ませてゐたり
私の書き込みは「思わず笑う。二度読みまた笑う」とある。今度読み直して少しも笑わなかった。それで思い出したことがある。娘が小さかった頃ハムスターやモルモットを飼ったことがあった。深夜家族が眠ってしまったあと、独りで毎晩焼酎を飲んでいた。そのとき、ごくまれにハムスターだったかモルモットだったかを巣からつまみ出し、口に含んだ焼酎を唾と一緒に広げた口に流し込んだりしたことがある。そうしながら、自分がこれらの小動物の立場だったら、ゴジラとか恐竜とかにつまみ上げられて、彼らの唾液混じりの酒を飲まされることと同じなんだと、ほんの少し反省らしきことを思い描いたことだった。いや、気持悪い体験をさせようと思ってしたことではなく、単に酔ったところが見たかっただけなんだけど。そんな行為のどこかに10年以上前に読んだ茂吉のこの短歌が影響していたのだろうか。
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