密(ひそ)かごとにはそれが密かであるゆえに、言うに言われぬ玄妙な魅力・快楽が付き纏う。 人目を忍んでコソコソとやるスリルであり、面白味。およそ金に困らない上流階級の御婦人が万引きに手を染めるのも、この快楽に中毒してのことだろう。 (『Ghostwire: Tokyo』より) 破滅を心底恐れつつ、しかし同時にその縁(ふち)を指先でそっとなぞるのを止められないしょうもなさ(・・・・・・)。そしてあるとき気付いたら、破滅にがっしり腕をとられて名状し難き引力で、「あっ」とも言えずいっぺんに引きずり込まれてサヨナラだ。洋の東西を問わずして、そういう末路を辿ったものは数多い。 軍人の如き特殊社会の中にすら…