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9/14/2010

モントリオールのジーザス

  東京ではシネスクでの公開で、その前に上映されていた映画を観に行っていて予告で入っていた本作に興味がひかれたのだけれど、シネスクにしては割りと短期間だったのがすっかり見逃してしまっていた作品。どこかで観る機会はないものかなとずっと思っていた時の92年のロンドンでちょうどイースターホリデーの特別上映みたいな感じでレスたースクエアの名画座みたいなところで鑑賞することが出来ました。

 キリストの受難劇を演じる若者の劇団。キリストを演じる普通の青年がやがて自分の中の変化を感じるようになるのだけれど、突然不慮の事故で脳死状態になってしまう。そして友人たちが取った行動は、彼の肉体を臓器移植提供という形で新たに「復活」させることだった。特別に宗教がかった作品ではないのだけれど、L・ブリュノー扮する青年がだんだんそれらしいカリスマっぽい雰囲気を備えていくところが印象的な作品でした。いつかまた再見したい作品('90)


原題:Jesus de Montreal 監督:ドゥニ・アルカン ('89)
出演:ロタール・ブルノー、カトリーヌ・ビルクナン 1992年4月鑑賞

11/28/2004

世界で一番悲しい音楽

  因果な父子の対決、一部カラーのモノクロ映像、醸し出す何とも言えない不思議なダークな雰囲気がまるでかつてのデヴィッド・リンチを彷彿とさせます。

 舞台は1933年。4年連続で「世界で一番悲しい町」に選ばれたカナダの町ウィニペグで地元のビール会社が開催する「世界で一番悲しい音楽」を競うコンテスト。恐慌後の苦しい社会で賞金獲得を狙い世界各国から集まってくる参加者の中にはとある一家の姿があった。主催するビール会社の女社長とかつてねんごろな関係にあったチェスターはアメリカでの興行私生活に失敗して恋人と共に故郷へ戻ってきたばかり。その父親は女社長に恋心を抱いていたが息子との仲に嫉妬しとある凶行を働いたとはいえいまだに彼女への想いを引きずっている。またセルビアから参加した流浪のチェリストとして名をなした男は実はチェスターの兄。一家がそれぞれの思惑を抱いて参加したコンテストの結末は…。

 ガイ・マディンは『ギムリ・ホスピタル』や『アーク・エンジェル』を見た時にはすごく実験・アングラ的で正直分け分からんと思いつつも映像だけは悪夢のようにインパクトが強く印象に残っておりました。それに比べれば今回はあのダークな雰囲気を保ちつつもかなり話的にはわかりやすかったと思います。というか相変わらずの「きてれつさ」にヤラれた。ビールのあぶくがきらきら輝くクリスタルの脚にゃまいりました。そんな脚の上で恍惚の表情を浮かべるロッセリーニはステキすぎ。ちなみに原作はカズオ・イシグロ…ほんとはどんな話なんでしょうかね?小説から舞台を移した「世界で一番悲しい町」ことウィニペグはマディン監督の故郷なんだそう。自虐的? 怪作ぐあいが非常に好みの1本でした。


原題:The Saddest Music in the World 監督:ガイ・マディン 2003年製作(カナダ/アメリカ)

出演:マーク・マッキニー、イザベラ・ロッセリーニ、マリア・デ・メディロス

@第5回東京フィルメックス(2004.11.20~11.28開催)

9/15/2003

氷海の伝説

 イヌイットの人々の間で古くから語り継がれてきた物語をもとにしてつくられた世界初のイヌイット語による長編映画。製作に携わったスタッフの人々もほとんどがイヌイットの方々なのだそうです。
邪悪なシャーマンの呪いの力で肉親殺しなど忌まわしい事件が代々続いてきたイグルーツクの小さな集落で足の速い若者アタナグユアトと村の善良なシャーマンが呪いから村を解放する物語。小さなコミュニティで繰り広げられる地位や女性を巡る愛憎劇で人殺しまでも起こっているにもかかわらず、私たちの知るゴミゴミした社会で起こるような陰惨な印象をさほど受けないのは、ひとえに氷に覆われたアラスカの雄大な大地でゆったり流れていく時間の中で起こる出来事だからなのでしょうか。

 物語の終盤でそれまで横暴な振る舞いを続け仲間や父親をも手にかけた者たちに対して村人の集まる場で「あんた方の幸せをも願っているからこの村から出ていっておくれ」と村のシャーマンである長老の妻が告げる件は、もちろん追放には違いないんだけれど自然の流れのままの調和を重んじる大人の制裁に見えました。自分で落とし前つけなさいみたいな。そういう争いの収め方もあるんだということをどこかの国の偉い人にも学んでほしい気がします。

 アラスカの自然の素晴らしさとイヌイットの人々の生活と習慣〜自分たちが暮らしを営む自然、それに伴うスーパーナチュラルな力に対する畏れと尊敬を抱いている人々なのだなということが改めてよく分かる作品で、とても興味深かったし約3時間の上映時間中ずっと画面に目が釘付けでした。
余談ですが
・丸太みたいに積んであるかちんこちんに凍ったアザラシの姿煮ならぬ貯蔵食にはびっくり。
・追放されるイヌイット役の人が元日本代表/アントラーズの鈴木隆行に似ていてプププと思ってしまいました。特にエンドクレジットのメイキング映像で上下黒の革ジャンにサングラスでばっちり決めちゃってる格好はあまりにもウリ…。

原題:Atanaguat, The Fast Runner 監督:ザカリアス・クヌク
出演:ナタール・ウンガーラーック、シルヴィア・イヴァル、ピーター・ヘンリー・アグナティアック
(@岩波ホール)

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