福岡・水谷茂さん〈核といのちを考える 遺す〉

聞き手・奥村智司
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北九州市(長崎) 水谷茂さん(95) 鉄工所職員

 (1)原爆は一瞬で多くの人を殺害し、傷つけました。この69年間、忘れることができない当時の体験、光景は何でしょうか。

 原爆投下後、長崎の市街地へ走っていると、淵神社の鳥居の前で40~50代の男性とすれ違いました。着物は焼けてぼろぼろ。手と腕から皮膚がだらっと垂れ下がっていました。すべてをあきらめたような顔、格好で無言で歩いていました。「むごい」という一言でしか表せない様子でした。

 (2)原爆は長い間、被爆者を苦しめ続けました。被爆してから現在まで、恐怖や不安、怒りを感じたことはなんですか。

 ありません。差別されたことも一度もない。

 (3)原爆投下から69年がたとうとしていますが、核兵器はなくなりません。どう思われますか。次の世代を担う人たちにどんなことを伝えたいですか。

 核兵器を捨てられない国の首脳があまりに多く、あきれてしまいます。話にならんばい。

 (4)東日本大震災原発事故が起き、たくさんの人が放射能への不安を抱えて苦しんでいます。こうしたなか、原発を再び動かそうとすることをどう思われますか。

 再稼働はやめるべきだ。津波が来るたびに心配するような、爆発してけが人が出かねないような現状で動かすべきではありません。必ず近いうちに安全な方法で電気がつくれるようになります。

 (5)安倍晋三首相は自衛隊が海外の戦争に加われる国になることをめざしています。賛成ですか、反対ですか。理由も教えてください。

 反対。自衛隊員は「国を守る」という教育を常々受けています。戦地で鉄砲を持っていれば、「国を守るため」という意識で撃ってしまい、戦争に巻き込まれます。

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