水増し業績、招いたガバナンス不全 JDI不正の温床

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小出大貴 高橋諒子
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 液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)による不正会計は、3社連合による「国策企業」として発足した同社と、経営に深く関与した官民ファンドのガバナンス(企業統治)の不全が温床となった。これまでJDI「延命」のために、巨額の公的資金が投じられてきた。これらは水増しした業績をもとに判断されたことになる。

 第三者委員会の報告書では、東京証券取引所1部に株式を上場した直後の2014年3月期決算から、不正な会計処理が続いていたことが判明した。大半は元経理担当者の「主導」としたが、その背景には、業績目標の達成に向けてプレッシャーをかける経営陣や官民ファンドの存在が浮かぶ。

 JDIは、3社の液晶パネル事業を統合させて12年に発足した。当時について「財務管理などの人材の育成まで手が回らず、会社機能が脆弱(ぜいじゃく)だった」と振り返る関係者もいる。こうしたあいまいなガバナンスがJDIの先送り体質につながったと指摘する声は多い。

 上場後は韓国や台湾勢との価格競争に苦戦した。有望な中国市場の開拓は現地企業の台頭に阻まれ、うまく進まなかった。結果、米アップルとの取引に偏ることになった。15年秋発売のアップル製スマートフォンiPhone(アイフォーン)6s」の販売が想定を下回ると、アップル依存が裏目に出て、経営は深刻さを増した。

 こうした経営難の中で、架空の伝票をつくって在庫の資産評価を高く見積もるなどして、利益が水増しされていた。最大額の利益の水増しがされていた15年度当時の社内について、関係者は「ノルマ達成のために、経営陣が会議で罵声を浴びせることもあった」と証言する。

 過大計上した在庫の大半は過…

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