トヨタ、東北が「第3の拠点」化 生産は1.6倍
トヨタ自動車は、東日本大震災発生後に進めてきた東北地方での事業拡大を示すデータをまとめた。完成車の生産台数は約1・6倍に増加。東海、九州に次ぐ「第3の拠点」として存在感が強まっている。
トヨタ自動車東日本 トヨタの生産子会社。2012年に関東自動車工業など3社が統合して発足。宮城県大衡村と岩手県金ケ崎町に完成車工場があり、「ヤリス」や「アクア」「シエンタ」など小型車を生産。従業員数は約7400人。昨年末に閉鎖した東富士工場(静岡県)跡地には、トヨタの実験都市「ウーブン・シティ」ができる。
トヨタは震災翌年の2012年、「ものづくりを通じて東北復興に貢献する」として、東北に拠点を持つ生産子会社3社を統合し、「トヨタ自動車東日本」(本社・宮城県大衡(おおひら)村)を設立。ハイブリッド専用車「アクア」や小型車「ヤリス」など、主に小型車種を生産してきた。
取引先、170事業所に拡大
東北には、完成車をつくる岩手工場(岩手県金ケ崎町)と宮城大衡工場(宮城県大衡村)、エンジンなどをつくる宮城大和工場(同県大和町)の計3工場がある。19年度の出荷額は約8千億円。統合前の10年度に約29万台だった生産台数は19年度には約47万台に増えた。東北の取引先も約100事業所から約170事業所に広がった。13年に開校した企業内訓練校「トヨタ東日本学園」で学んだ人は今年3月時点で約2千人にのぼる。
トヨタの豊田章男社長は4日、スポーツ用多目的車(SUV)の「ヤリスクロス」などをつくる宮城大衡工場を視察。報道陣に対し、「自動車産業の発展を通じて東北に希望を伝えたかった。東北を日本のものづくりの中心地にしていきたい」などと話した。
〈トヨタ自動車東日本〉トヨタ自動車の生産子会社。2012年に関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北が統合して発足。宮城県大衡村と岩手県金ケ崎町に完成車工場があり、「ヤリス」や「アクア」「シエンタ」など小型車生産の拠点となっている。19年度の東北での生産台数は約49万台。従業員数は約7400人。昨年末に閉鎖した東富士工場(静岡県裾野市)跡地には、今年2月23日に着工したトヨタの実験都市「ウーブン・シティ」ができる。