弥生人も「十進法」使用か 全国初、基準の10倍の計量用重り確認

渡辺純子
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 弥生時代の計量用の重り「権(けん)」が複数出土した福岡県春日市の須玖(すぐ)遺跡群で、基準の11グラムの10倍にあたる「10倍権」を確認したと、同市教育委員会が1日発表した。全国で初めてで、弥生人が十進法を使っていたことをうかがわせる貴重な資料だという。

 10倍権は石製の円筒形で重さ116・3グラム。須玖岡本遺跡で1989年に出土したものを、武末純一・福岡大名誉教授(考古学)らが改めて調査し、権だと判断した。弥生時代に重さを量るてんびんの分銅として使われたとみられる。同じ地点から30倍の重さの30倍権も1点、新たに確認した。

 須玖遺跡群では昨年、1倍、3倍、6倍、20倍、30倍にあたる権が複数見つかった。韓国南部でも、同じ基準とみられる約11グラムの青銅製の権が出土している。

 須玖遺跡群は「魏志倭人伝」にある「奴国(なこく)」の中枢部とされ、王墓などがある。10倍権が出土した周辺には青銅器の工房があったとされ、銅や鉛の重さを量って調合していた可能性がある。武末氏は「ここは弥生時代のテクノポリスといえる先進地で、弥生人が十進法を使っていたことが裏付けられた」と話す。

 今回確認された10倍権を含めた権は、8月下旬から奴国の丘歴史資料館の考古企画展「発見!! 弥生時代の権」で展示予定だったが、緊急事態宣言で休館となったため、1日から同資料館のホームページで公開を始めた。26日まで。

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