ロシアが真に恐れることとは 侵攻の可能性は ウクライナ危機の深層
ロンドン=国末憲人
ロシア軍が国境付近に集結し、ウクライナ情勢が緊迫しています。ロシアによるウクライナ侵攻は起きるのでしょうか。ロシアは何を狙っていて、欧米はどう対応すべきなのでしょうか。ウクライナ情勢の分析に携わる英王立国際問題研究所のオリシア・ルツェビッチ特別研究員に聞きました。
ロシアの軍事行動 限定的な可能性も
――情勢が緊迫化しています。ロシアは侵攻しますか。
「状況は極めて深刻です。ロシアが兵力を結集しているのは、ウクライナとロシアの国境だけではありません。黒海にも、ベラルーシにも展開しています。実戦を想定してプーチン大統領が兵力を配備したのは、間違いない。これは、ウクライナだけでなく欧州全体にとっての脅威です」
「ただ、侵攻があるかどうかは、ひとえにロシアと米国との交渉にかかっています。ロシアは、米国が自分たちの声に耳を傾け、自分たちの国益を尊重するよう求めていますが、その行く末はまだわかりません。事態はここ数カ月、刻々と変化するでしょう」
――侵攻は2月半ば、との分析もあります。
「ロシアがどのような軍事行動を取るのかにもよりますが、いつか、何らかの軍事行動を起こすだろうという見通しに、多くの異論はありません」
「ただ、ウクライナの相当部…