「実態を見て」 現役保育士が、国や社会に考えてほしいこと

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構成・中井なつみ 聞き手・浦島千佳
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 長年の課題とされてきた保育士らの処遇改善。政府も取り組みを進め、月額9千円の賃上げも2月から実行されていますが、現場で働く保育士たちのなかには、「もっと実態を見てほしい」という声があります。認可保育所で働く保育士2人と、運営を担う園長に「いま、求めたいこと」を聞きました。

 まず、保育士9年目の女性Aさんと、幼稚園を経て保育園勤務6年目となる男性Bさんに語ってもらいました。勤務先は別々です。

 ――現在の勤務状況や賃金について、教えてください。

 Aさん:いまの園で保育士9年目ですが、手取りがやっと17万円近くになったという段階です。

 いまは実家暮らしですが、もしひとり暮らしだったら、生活費を捻出すると、精いっぱいかも。そう思うと、将来への不安も感じます。

 Bさん:僕は幼稚園の勤務を経て、現在の保育園に勤めて6年目です。いまは、年長(5歳児)クラスの担任です。

 手取りは、残業代が多く入った月で二十数万円くらい。昨年までは、リーダー職をしていてその手当があったのですが、双子の子どもが小学校に入学することもあり、リーダー職は外してもらいました。なので、その手当はなくなっています。

 採用された日から9年目までの保育士が対象の家賃補助制度を利用しています。いまは家賃約8万円のアパートに家族4人で住んでいますが、補助がなくなれば、働き続けられないかもしれない、と思うことがあります。

「実感できない」処遇改善の成果

 ――国は保育士の労働環境や処遇改善には力を入れてきたと言いますが、実感はどうでしょう。

 Aさん:国としても「大変だよね」と思ってくれているのだとは思いますが、「実際に、何が大変だと思っているの?」と感じることがあります。

 9千円の賃上げも、ないよりはありがたいですが、私は6千円しかもらえませんでしたし、「そこじゃない」という感じもあります。9千円の賃上げでは、解決しない課題もたくさんあります。

 保育園ごとに事情が違うため…

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