保育士の処遇改善 実は「横ばい」だった 働く環境、社会で議論を
待遇の改善が長年の課題とされてきた保育士について、岸田文雄首相は公定価格(公的価格)を抜本的に見直す方針を掲げ、月額賃金の向上に着手しました。先月末に公表した「新しい資本主義」の実行計画案でもふれています。ですが、現場や専門家からは「それでは不十分だ」といった声が上がっています。どうしてでしょうか。自身も認可保育園の運営を手がける村山祐一・帝京大元教授(保育学)に、保育士の処遇のあり方や現状について聞きました。
処遇改善、実は「横ばい」
――保育士の処遇改善の動きについて、どう見ていますか?
保育士の処遇改善はたびたび話題になっていて、一般的にも「前よりは良くなったのだろう」と思っている人が多いのではないでしょうか。
でも、実態はそうではありません。
保育士の賃金水準を決める指標となるのは、国が「保育園の運営に必要」と定めた公定価格ですが、その「本俸基準額」について、2000年を100として比較すると、横ばいか下回った状況が続いているのです。
この状況で、「処遇改善が進んでいる」とされることに、大きな違和感を覚えています。
保育士の業務負担は、年々格段に増えています。それなのに、「やっと以前の水準に達してきた」状況で満足させようというのは、おかしいはずです。
――なぜ、そんなことが起きるのでしょうか。
公定価格は、人事院勧告によ…
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