第2回礒崎案ベースの政治的公平巡る解釈 「ヤクザに絡まれたようなもの」
総務省が行政文書だと認めた計78枚にのぼる資料には、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐって、安倍政権下での首相官邸側とのやりとりが克明に記録されている。
総務省は大筋の流れを認めつつ、文書を精査したところ、詳しい内容については正確性が確認できなかったとしている。当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は、自身が登場する文書について「捏造(ねつぞう)で内容は不正確」だと主張。一方で総務省は職員からの聞き取りで、「捏造の認識はないとの答えがあった」などと説明する。
緊迫していた当時の政治状況とともに、一部の政治家によって解釈が決められていった様子を文書からたどった。
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首相補佐官の礒崎陽輔と総務省側による、修文作業が本格化した。放送法の政治的公平をめぐる新たな解釈は、付け加える方向で走り始めていた。
「1回こちらで書いてみたい。それで問題があれば文句を言ってくれ。ようは法令協議をやろう」
年が明けた15年1月9日夕、礒崎は首相官邸で、総務省の安藤友裕情報流通行政局長にこう切り出した。
礒崎の職掌は安全保障と選挙制度だったとされるが、放送法の解釈に自らも筆を入れるという。
東大法学部卒の礒崎は、旧自治省の官僚だった経歴を持つ。著書に「分かりやすい公用文の書き方」などがあり、議員の中でも実務にたけていることで知られていた。
異例とも言える官邸幹部作成の文案が、総務省の担当者のもとにメールで送られてきたのは4日後だった。
「放送法における政治的公平に係る解釈について(案)」と題された文書には、「一つの番組のみでも、次のような極端な場合においては、『政治的公平』を欠き、放送番組準則に抵触することとなる」と記され、例が挙げられた。
「国論を二分するような政治…
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放送法めぐる総務省文書問題
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