ひきこもり、家族任せは「とっくに限界」 制度改革訴える社会学者

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聞き手・田渕紫織
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 内閣府が、ひきこもっている人(15~64歳)が日本に推計146万人いるという調査結果を発表しました。結果を読み解いた明治学院大の関水徹平准教授(社会学)は、「光の当たらない部分」が大切だといいます。

 ――今回の調査で国が使った「ひきこもり」の定義には、ふだんは家にいるけれどもコンビニに出かけたり、趣味の用事で外出したりする人も含まれています。

 ひきこもりと聞くと一般的には家や部屋から出ない状態がイメージされると思いますが、4年前の前回調査(40~64歳が対象)もほぼ同じ定義で、仕事や学校に行っておらず、社会参加の場が限定されている多様な状態を「ひきこもり」ととらえています。前回の調査でも今回の調査でも、家や部屋から一歩も出られない人は少なくて、多数派はコンビニや趣味の用事では外出していました。

 また、「あなたはひきこもりですか?」と聞く調査ではないので、該当者の中には、もしかしたら自分のことをひきこもりだと思っていない人もいるかもしれません。

「光の当たらない部分」が重要

 ――今回、コロナ禍が原因でひきこもり状態になったと答えた人が2割ほどいました。

 ますます、外出頻度だけに着目していては実像が見えなくなってきたと思います。

 本人や家族がひきこもりとい…

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この記事を書いた人
田渕紫織
東京社会部|災害担当
専門・関心分野
災害復興、子ども
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    インベカヲリ★
    (写真家・ノンフィクションライター)
    2023年4月3日20時0分 投稿
    【視点】

    私も先日、ひきこもりの男性を取材したのだが、彼は20年ほど生活保護を受けながら精神科クリニックへ通っており、将来について質問すると、「人間は余計なことをするから、とにかく僕はなにもしない。努力しないことも含めて何もしないことのほうが大事」と

    …続きを読む
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    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2023年4月3日20時0分 投稿
    【視点】

     ひきこもり状態の人への公的支援について、「将来納税者になってもらうため」という説明は、わかりやすいものです。しかし関水徹平さんが指摘する通り、「目先の費用対効果」だけを追い求める支援には、いくつもの落とし穴、危うさがあります。インタビュー

    …続きを読む