「義務感で見る」に限界、1分動画の戦略 伝えたいなら変わればいい
「まじか…」「最高!」――。感情を素直に表現しながら、スピーディーなナレーションと、テンポ感ある音楽を下地にした短尺の動画で、社会問題を伝える「RICE MEDIA」。敬遠されがちなテーマでも、「動画の作りを変えたら、数千回再生が数十万回の再生に変わった」と話す、代表の「トム」こと廣瀬智之さん(28)に、その戦略を聞きました。
記事で問いかけ → 皆さんの声 → 廣瀬さんのRe:
廣瀬智之さんが動画で問いかけた「情報洪水となったいま、どのくらい、世の中で起こっていることを知る時間をとっていますか」。みなさんならどう答えますか。記事の末尾にある「おたよりフォーム」から書き込んでみてください。
「1カ月プラなし生活」が話題に
――昨年YouTubeなどで配信された、食品や生活雑貨から使い捨てプラスチック製品を一切廃して1カ月過ごす「1カ月プラなし生活」が話題になりました。動画では、コンタクトレンズを禁止され、めがねに付け替えぼうぜんとするトムさんの表情が印象的で、既存メディアがしがちな「コンタクトレンズの環境負荷は~」という伝え方とは一線を画します。
以前から、個人的にTikTokやYouTubeはよく見ていて、ショート動画の拡散性は身にしみていました。そこで、「テンポ感」や「現場感」など、好きなクリエーターのいいところを抽出した作りを考えて動画を制作しています。
テクニカルなところで言うと、動画を途中で見るのをやめてしまう「隙」を与えないように、音をかぶせていくということも意識しています。
YouTubeで170万回再生された動画
――戦略的に伝え方を工夫していることがわかります。
このフォーマットでの第一作が、2022年4月に投稿した、京都府亀岡市がレジ袋の販売自体を禁止したという事例を紹介した動画でした。それ以前に投稿してきた動画が数千回再生だったのに対し、この動画はYouTubeで約170万回、TikTokで約30万回、再生されています。
その後も投稿を重ね、「現地に取材に行く」内容の動画が伸びている実感があり、いまはそれを攻めていこうと思っています。
――「1分間で社会を知る」をテーマにするなかでも、環境問題を多く扱っている印象です。
社会問題に関心がない人の「入り口」になりたいという思いから、まずは環境問題を多く取り上げています。
「幅広く」伝えたい気持ち、抑える理由
ジェンダーや難民の問題なども取り上げたいのですが、傷ついている当事者が具体的に浮かびやすいテーマだと、「見るのがしんどい」と感じる人も少なくありません。一方、「プラなし生活」という切り口だと、具体的な当事者はすぐには浮かびません。そのため、いまは幅広く伝えたい気持ちを抑えて、環境問題をメインに扱っています。
――2021年末の配信当初から現在のスタイルでしょうか?
最初はいまとは全く違っていました。
既存メディアのような「報道…