元履正社主将はユニホームを脱いだ 就活で言われた「あの夏」の記憶

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小島弘之
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 まるで「無音」の空間だった――。

 2018年7月27日、第100回全国高校野球北大阪大会の準決勝。根尾昂(現中日)や藤原恭大(現ロッテ)を擁する「最強世代」の大阪桐蔭との大一番を迎えた履正社は、主将の浜内太陽(当時3年)が先発のマウンドに立った。

 浜内は投手として入部したが、1年生で右肩を痛めて外野手に転向し、公式戦での登板経験はなかった。

 先発は、当時の監督岡田龍生の「ばくち」だった。

 秘策ははまり、六回まで無失点。七回に失点して降板するも、八回に再び登板。そして4―3と1点をリードした状態で、九回表のマウンドに向かった。

 あとアウト一つ。「2死走者なし」まで大阪桐蔭を追い込んだ。このとき、投球数は120球に達した。

 照りつける太陽、球場を包む熱気、砂埃(すなぼこり)。ベンチからもスタンドからも声援が飛んでいた、はず。

 だが、聞こえていたのは、自…

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