事故半減の衝突対策、「発祥の地」でなぜいま 北海道17人死傷事故

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新谷千布美
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 北海道・八雲町で今年6月、バスに対向のトラックが衝突し、運転手と乗客17人が死傷した。7月6日から7日にかけ、事故の対策として「ランブルストリップス」という舗装が現場に施された。実は、日本の公道で初めてランブルストリップスが施されたのは、同じ八雲町の国道5号だった。いわば「発祥の地」で、なぜ事故は繰り返されたのか。

 ランブルストリップスは、かまぼこ形の溝を等間隔に掘っていく工法だ。追い越し禁止の中央線(1条線)の場合、縦17センチ、横15センチ、深さ1・5センチの溝を、13センチ間隔で掘っていく。タイヤがその上を踏むと、ゴゴゴと音が響き、車体がガタガタ揺れ、はみ出す前に気付くことができる。

 もともと米国にあった工法で、旧北海道開発土木研究所(現・寒地土木研究所)が国内向けの仕様を開発。2002年、正面衝突による死亡事故が相次いでいた八雲町の国道5号上に実験的に設置された。その際、道路上のカメラには、対向車線にはみ出しかけたものの元の車線に戻る車の様子が何台も映っていた。

 費用は安く、1メートルあたり1500円程度。突起ではなく溝のため、冬も除雪しやすく、効果が維持される。「正面衝突対策の切り札」として普及した。

 同研究所が02~07年に整備された43路線641キロの区間を比較したところ、施工前後で正面衝突事故は半減。死者は約7割減った。

未着手の「危険区間」

 しかし、最初に設置された場…

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