第3回吹コンの評価を決するのは音ではない? 検証:世界を揺るがした研究
【連載】すいエンス! 吹奏楽を科学する
毎年、各地で熱演が繰り広げられる吹奏楽コンクール。「あるある」や悩みを科学的に掘り下げてみました。
シンガポール発の論文が、音楽研究の世界をざわつかせている。タイトルは「Sight over sound in the judgment of music performance」。音楽演奏の評価には、耳で聴く音よりも「視覚」が優劣に影響するとする研究だ。
直感に反するようなこの現象は「サイト・オーバー・サウンド効果」と名付けられた。もしかして吹奏楽にも当てはまるのか、小学校から高校まで吹奏楽にどっぷりつかった慶応大の大学院生、三摩朋弘さん(音楽神経科学)が検証した。
そもそもサイト・オーバー・サウンド効果はどのように確かめられたのか。
シンガポールの研究チームは、初心者とコンクールの評価経験のあるプロそれぞれ100人以上に演奏を評価する実験に協力してもらった。
いずれもアンケートでは8割以上の人が評価にあたっては「音が重要」と答えていた。
そこで、まず初心者に、過去の音楽コンクールのファイナリスト3人の演奏について、音のみのデータと映像のみのデータで優勝が誰かを判定してもらった。
すると、音のみの正解率は、当てずっぽうの33%を下回る20%台だったのに対し、映像のみの方は50%台と明らかな差が出た。
この検証、プロの答えは
初心者なので、音の優劣がわからないのかもしれない。
プロには、音のみ▽映像のみ▽音と映像の3条件で判定してもらった。
もっとも正答率が高かったの…
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