卵アレルギー治療の臨床試験費用にクラウドファンディング 三重病院
重症な卵アレルギーの子どもの治療に向け、国立病院機構・三重病院(津市)が6日から、インターネットを通したクラウドファンディング(CF)で広く臨床試験費用を募る。目標額は800万円で、10月31日まで募集する。
臨床試験は、卵白のなかのアレルギーを引き起こす物質を付けた直径1センチのシールを24週間、入浴後の胸などに毎日貼り続ける経皮免疫療法。試験対象者は4~15歳の63人で、効果が見られない場合はさらに24週間継続する。
三重病院は全国の8病院とともに2021年から試験に取り組んでいる。ところが、新型コロナの影響もあって定期的な来院を必要とする対象者が集まらず、予算を削られた。そこで、シールの購入や血液検査の費用をまかなおうとCFを実施することにした。
子どもの食物アレルギーは増えており、重症の場合は呼吸困難や意識消失の恐れがある。原因物質に気をつけていても他の食べ物に微量に混じっていることもあり、患者や家族には大きな負担となっている。
三重病院には年間1千人ほどの子どもの食物アレルギー患者が受診。このうち約250人が卵アレルギーで、約50人は重度という。予防法が確立されていないため、副作用がほとんどなく小さなシールを貼るだけの経皮免疫療法への期待は大きいという。
プロジェクト責任者の藤沢隆夫・名誉院長は「患者の不安や負担を減らし、安心、安全な食生活を取り戻せるよう協力を」と呼びかけている。