処理水放出で廃炉が前進? 原子力学会委員長「技術的にあり得ない」
東京電力福島第一原発の処理水の1回目の放出が11日、完了しました。政府と東電は、2051年までの「廃炉完了」と、処理水放出の終了を目標に掲げています。日本原子力学会で廃炉の問題を検討する委員会のトップを務める宮野廣さんは「廃炉の本丸はこれから」と指摘し、51年までの「廃炉完了」は技術的に「あり得ない」と語っています。どういうことでしょうか。
処理水の影で、放置されたままの問題
――処理水の放出によって、廃炉作業はどれほど進むのでしょうか。
「廃炉がものすごく進むかというと、そういうわけではありません。計画通りに放射性物質の濃度を守って放出すれば環境影響などの問題はないですが、処理水のもとである汚染水が発生する状況をそのままにしていいのか。処理水の放出自体に問題がないからと、課題が放置されているような気がします」
――汚染水は、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)が残る原子炉建屋などに雨や地下水が入り込むことで発生しています。
「(地下水が入らないよう、建屋の隙間をふさぐ)止水などが必要です。汚染水の発生量をいつまでにゼロにするのか、見通しを示さないと、いつまでも問題が残るのではないかと心配しています」
――何が問題なのですか。
「汚染水を処理した水の貯蔵…
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