JR西、赤字ローカル線の存廃協議を国に要請 全国初、芸備線が対象

西本秀
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 JR西日本は3日、赤字のローカル線などについて国や沿線自治体と存廃を話し合う「再構築協議会」の設置を国土交通省に要請した。広島、岡山両県を通る芸備線の一部区間が協議の対象で、10月1日施行の「改正地域公共交通活性化再生法」で新設された同協議会の設置要請は、全国で初めてとみられる。

 同協議会は、国も参加する形で存廃や利用の促進、バスへの転換などの将来像を話し合い、3年以内を目安に方針をまとめる。

 今回の要請の対象区間は、中国山地の山あいを抜ける備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間の68・5キロ。2019年度の輸送密度(1キロあたりの1日平均利用者数)は48人で、JR西の赤字ローカル線の中でも特に利用が少ない。

 JR西と沿線自治体は21年から、利用促進や経営状況について議論してきた。JR西は「大量輸送という鉄道の特性が発揮できていない」と主張して廃線を視野に入れているが、自治体側は「まずは利用を増やす促進策を進めるべきだ」などと反論してきた。

 議論が平行線をたどるなか、JR西は今年8月、改正法施行後に同協議会の設置を要請する意向を表明していた。要請を受けた国交省は今後、沿線自治体に参加の意向や協議の進め方を確認する。

シリーズ 線路は続くか

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この記事を書いた人
西本秀
長崎総局次長|編集デスク
専門・関心分野
戦後社会の変容、台湾政治