第4回「流される」地元の人の予想通りに ハザードマップでは見えない現実

有料記事警戒区域の「盲点」

山本孝興
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 2021、22年に全国で起きた1700件超の土砂災害を分析すると、リスクを知らせる警戒区域の外にまで土砂が及んだのは3割を超えました。なぜ想定と違うのか。現場を取材し、全5回の連載でお伝えします。

 記事の後半では、1700件超の地点を全て確認できる地図をご覧いただけます。

     ◇

 山中で発生した土石流が川を下り、ふもとの集落に向かう。

 川からあふれながら集落に到達した土石流が、突然、向きを変える。そのまま土砂災害警戒区域の外へと広がっていく――。

 2018年7月、西日本豪雨に見舞われた広島市安佐北区口田南3丁目。集落を流れる小田川を下ってきた土石流によって、複数の住宅が全壊し、女性1人が犠牲になった。

 京都大学防災研究所の竹林洋史准教授は、シミュレーションを用いて当時の土石流の動きを再現した。土石流が向きを変えた警戒区域内の地点を指しながら、指摘する。

 「この場所、高い石垣があるんです。現場を見れば、こっち(警戒区域内)に流れそうな感じはしませんよね」

 何が起きたのか。現場を訪ねた。

増える水かさ 「あのままいたら死んでいた」

 「あの石垣に当たって、川の水がどんどんこっちに向かってきよったんですよ」

 警戒区域から十数メートル先…

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