「史跡に相当」の全国42遺跡、国がリスト初公表 保存と開発に配慮
筒井次郎
文化庁が、国史跡に相当する価値がある全国の遺跡リストをつくり、初めて公表した。史跡指定前の遺跡の情報を国が把握し、あらかじめ価値を示すことで貴重な遺跡を守るだけでなく、事業者側も開発計画が立てやすくなる。保存と開発の両立を図るのが狙いだ。
10月下旬に公表された「指定相当の埋蔵文化財」のリストには、27県にある42件の遺跡が並んだ。
日本最大の鉄剣が出土した国内最大の円墳「富雄丸山古墳」(奈良市)、国内最古級となる約1万3千年前の土偶が出土した「相谷熊原(あいだにくまはら)遺跡」(滋賀県東近江市)など、近年の調査で確認された遺跡も多い。
リスト化のきっかけは、2019~20年にJR東日本の再開発区域の発掘調査で見つかった明治初期の鉄道遺構「高輪(たかなわ)築堤」(東京都港区)の保存問題だ。「明治日本の文明開化を象徴する」(文化審議会)と後に評価されたが、当初は解体必至だった。
記事の後半では、文化財保護法での遺跡保護の課題と、リストに掲載された各遺跡の地元自治体の反応を紹介します。42件の遺跡の一覧表もあります。
専門家らが保存を強く求めた…