「誰が使うのか」と言われたけれど ロボット農機つくり続けた先駆者

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鈴木智之
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 のどかな印象の農業は、先端テクノロジーとは縁遠いように見えるが、実はイノベーションをもっとも必要としている分野だ。担い手不足や環境負荷といった既に深刻化している課題に対し、ロボットや人工知能(AI)などを活用した「スマート農業」への期待が高まっている。

 農林水産省によると、基幹的農業従事者の平均年齢は68・4歳(2022年)で、50代以下はおよそ20%しかいない。大きな農地が広がる北海道でも後継者不足は深刻だ。道内の20年の農業就業者数は11万2070人で、15年からの5年間で10・6%減っている。

 東京ドーム38個分の広さを誇る北海道大札幌キャンパスに8月、その名も「スマート農業教育研究センター」ができた。

 真新しい建物の1階にずらりと並ぶのは自動運転するロボット農機だ。第一人者である野口伸教授が1991年につくった1号機のトラクターもある。「誰が使うのかと言われたこともあったが、必ず時代が来ると思っていた」。農機大手ヤンマーと開発した自動運転トラクターは5年前から販売されている。

 北大は1876年に開校した…

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この記事を書いた人
鈴木智之
科学みらい部|大阪駐在
専門・関心分野
科学、交通、難病