第6回帰ろかな帰ろかな 千昌夫さん「北国の春」の舞台は東北ではなかった

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茂木克信
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 1977年が明けた。終戦直後の苦しい時期を乗り越え、高度経済成長を果たすも、第1次石油ショックの影響で狂乱物価の混乱が残っていた。そんな時代に、故郷を離れて都会で暮らす人々の心に響くあの歌は誕生した。

「イワテケーン」から曲名決まる

 1月下旬。作曲家の故遠藤実さんや、一門の作詞家いではくさん(82)、歌手の千昌夫さん(76)らが、東京都内の遠藤さん宅に集まった。4月に出すレコードの打ち合わせだった。

 いでさんは正月早々、レコード会社のディレクターから詞を書くよう頼まれた。メインとなるA面には「今風な詞」という指定があった。

 サブのB面は好きに作れた。岩手県陸前高田市出身の千さんは、外国人の妻と出演したCMの「イワテケーン」というセリフが流行語になっていた。発売時期も踏まえ、曲名を「北国の春」に決めた。

 ただ、岩手県どころか東北地方にも行ったことがなかった。風景がイメージできない。困った……。

 ふと、ひらめいた…

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この記事を書いた人
茂木克信
新潟総局|行政担当
専門・関心分野
地方自治、くらし経済、依存症、セカンドライフ

連載うたと私のStory(全14回)

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