人・ひと 「自主自律」教え子の優勝夢見て
熱海富士らを育てた飛龍高相撲部監督 栗原大介さん(47)
翠富士や熱海富士ら育てた力士は、現役だけで10人。飛龍高校(静岡県沼津市)の相撲部を、埼玉栄、鳥取城北の2大勢力に迫る強豪校へと導いた名将だ。その指導法を伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「本人の意志に任せるのが特徴」と評する。
子どものころから力士になるのが夢だった。同じ学年には後に黄金世代と言われた琴光喜、高見盛、栃東、千代大海、若の里がいた。中学時代から彼らに勝てなかった。角界入りを誘われたが、自分に自信が持てず指導者を志した。1999年、母校の監督に就任した。
モットーである「自主自律」の原点は、監督1年目の教え子にある。高校横綱に輝いたその生徒はとにかく研究熱心だった。「立ち合いの角度は?」「手の位置は?」と質問攻めにされた。後に同校OBで初の関取になる磋牙司(さがつかさ)だ。「言われてやるのではなく、主体性を持って自分を律して行動しなければ強くなれない」と気づいた。「教えよう」という気持ちから、生徒の自主性を重んじる指導へと変わっていった。
道場には2013年から昭和の大横綱・北の湖の優勝額が飾られている。縦3・17メートル、横2・28メートル、重さ約80キロ。畳およそ5枚分の大きさだ。そのころ部員は2年生ばかり、わずか4人。一緒に苦労して稽古場に運び入れた。その1人が翠富士だった。「このときから成績が上がった」。夢は教え子の優勝額を飾ることだ。
1月の初場所前相撲で3人の教え子がデビューする。こんな言葉で送り出す。「努力しても裏切られることもある。しかし努力しなければ結果は出ない」
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