「長女」に100回繰り返した性行為 内縁の夫が抱いた嫉妬と焦り

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島崎周 編集委員・大久保真紀 村上友里 狩野浩平
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 「私だけのお兄ちゃんだからね」

 男性(42)は、「長女」からのその言葉がうれしくて仕方なかった。

 25歳のころから内縁の妻とつきあい、すぐに同居を始めた。妻には四つほど年の離れた2人の娘がいた。

 娘たちとは小学生のころから一緒に暮らしてきた。特に長女は「お兄ちゃん」と言って、慕ってくれた。ほしいものや行きたいところをねだられるのが、うれしかった。

 一緒に風呂に入り、同じ布団で寝る。成長とともに、長女が自分の中で占める割合がどんどん大きくなっていった。

 一方で、家庭内のトラブルは絶えなかった。妻とは生活習慣の違いをめぐって、言い争った。次女は万引きをしたり、自分のさいふから千円札を抜いたりすることがあった。それでも、経済的に家庭を支えていたこともあり、《自分がいないとこの家はダメになる》と、妻と別れようとはしなかった。

 そんななかで、長女は「唯一の味方」だった。

 そんな長女を「女」として意識したのは、小学6年生のころからだ。風呂に一緒に入って体を洗いながら、ふくらんでいく胸や発育する体に目がいった。

 長女は、中学生になっても手をつないで買い物に行ったり、背中に飛び乗ってきたり。向こうも自分のことを父親としてではなく、「男」として見てくれているのだと感じるようになっていた。

 そして、ある思いが募っていた。《彼女を自分だけのものにしたい――》

【連載】子どもへの性暴力

「子どもへの性暴力」第9部では、加害について考えます。記事の後半では、男性がなぜ性加害を繰り返したのか、そして服役を通して何を考えたのかなどを記しています。現実を知ることが第一と考え、加害や被害について詳しく書いていますが、性的な描写で気分が悪くなった方は無理に読み進めないでください。

 ある日の朝、我慢していた思…

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この記事を書いた人
島崎周
東京社会部|文部科学省担当
専門・関心分野
性暴力、性教育、被害と加害、宗教、学び、人権
大久保真紀
編集委員
専門・関心分野
子ども虐待、性暴力、戦争と平和など
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    吉川ばんび
    (作家・コラムニスト)
    2025年1月30日0時26分 投稿
    【視点】

    性的虐待のニュースを見るたびに、被害に遭った子どもへの影響に対して量刑があまりにも軽すぎるのではないか、と思います。子どもにとって、監護者などから受けた性被害の記憶は一生、心に深く残る傷になります。トラウマにより精神疾患や障害を引き起こし、

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    小松理虔
    (地域活動家)
    2025年1月30日0時53分 投稿
    【視点】

    10歳の娘がいる自分にとってはかなり生々しく、最後まで読むのが辛い記事でした。「愛情とともに所有欲や性欲が混同されている例が多い」という信田さんの指摘も、非常に重いなと感じます。自分がしていることを「これは愛情表現なんだ」と思うことで正当化

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