八代亜紀さん死去、代表曲「舟唄」「雨の慕情」 昨年9月に病気公表

 「雨の慕情」「舟唄」などで知られ、「演歌の女王」と呼ばれた歌手の八代亜紀(やしろ・あき)さんが昨年12月30日、急速進行性間質性肺炎で死去した。73歳だった。所属事務所が9日、発表した。葬儀は既に営んだ。後日、お別れの会を開く予定という。

 熊本県八代市出身。地元のバスガイドを経て、上京して銀座のクラブで歌ううち、スカウトされた。1971年、「愛は死んでも」で歌手デビュー。73年の「なみだ恋」が出世作となった。代表曲に「お酒はぬるめの燗(かん)がいい 肴(さかな)はあぶったイカでいい」の歌い出しで知られる「舟唄」や「愛の終着駅」、80年に日本レコード大賞の大賞を受賞した「雨の慕情」など。独特のハスキーで深みのある歌声で、男女の哀愁をつややかに歌った。

 活躍の場は演歌にとどまらず、2010年代にはジャズアルバムを出したり、ジャズ歌手として米ニューヨークで初の海外公演を開いたりした。画家としても活動し、各地で個展を開催。フランスの絵画公募展「ル・サロン展」でも入選した。

 事務所によると、膠原(こうげん)病の一種の抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎も患っていた。昨年9月に病気を公表し、活動を休んで療養していた。

 八代さんの死去に伴い、公式サイトで所属事務所のコメントが発表された。全文は以下の通り。

     ◇

 【ファンの皆様ならびに関係者の皆様へ】

 平素よりご厚情をいただき心より感謝申し上げます

 2023年9月に膠原病(こうげんびょう)の一種であり指定難病である抗MDA5 抗体陽性皮膚筋炎と急速進行性間質性肺炎を発症し療養を続けておりました弊社所属の八代亜紀が12月30日に永眠いたしましたことを謹んでご報告申し上げます

 葬儀は八代自身の強い遺志により弊社スタッフのみで2024年1月8日に執り行いとても穏やかな顔で旅立ちました

 一日も早い復帰を目指し治療とリハビリに励んでおりましたが容態(ようだい)の急変により皆様へこのようなご報告をしなければならなくなりましたことは無念でなりません

 代弁者として歌を歌い表現者として絵を描くことを愛し続けた人生の中で常に大切にしていた言葉は「ありがとう」でした

 「一人では何も出来ない、支えてくれる周りの皆様に感謝を」という父と母からの教えを八代自身は体現し続けて参りました

 療養期間中も傍(かたわら)で支えるスタッフや医療従事者の皆様に「みんなありがとう」と感謝を伝え最期まで八代亜紀らしい人柄が滲(にじ)み出ておりました

 これから先いつまでも八代亜紀が命を吹き込んだ作品の数々が沢山(たくさん)の人達(たち)に愛され皆様の心の中に生き続けることを八代自身も望んでいると思います

 後日にお別れの会を執り行いたいと思っております

 詳細については改めてご案内申し上げます

 今まで応援してくださったファンの皆様 関係者の皆様に心より深く感謝 御礼申し上げます

 本当にありがとうございました

 2024年1月9日

株式会社 ミリオン企画

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