「千葉笑い」の掲載500回達成 白井市の宇井さん「千笑士」の笑号

本田大次郎
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 朝日新聞千葉版の笑文芸欄「千葉笑い」で、白井市の宇井新さん(78)が昨年、掲載500回を達成し、1日、「千笑士」の笑号(称号)が贈られた。宇井さんは幅の広い言葉遊びで、自在に笑いを紡ぎ出し続けている。

 千葉笑いの選者で講談師の田辺鶴遊さんが、宇井さんに賞状を手渡した。田辺さんは「世の中の悔しいこと、おかしなことを笑いに包み、届けてくれる」と講評。宇井さんは「若い頃のようにすぐにはひらめかないが、これからもいろいろな分野の作品を作りたい」と応えた。

 宇井さんの投稿が初めて掲載されたのは、1999年4月。都知事選の主な候補者の名前を取り込んだ狂歌だった。

 鳩(はと)のエサ 舛(ます)に満たした 柿のタネ 明石にまいて 石原模様

 投稿は、このときが初めて。勤めていた銀行から関連会社へ出向し、少し心にゆとりができたころだった。子どものときにラジオで落語やとんちの番組を聴いていたが、作品が掲載されて一気に力が入った。

 前から読んでも、後ろから読んでも同じ文章になる回文も得意にしている。

 カイサンハバンザイカ(解散は万歳か)=2017年

 宇井さんの手にかかると、数字遊びも回文になる。

 14148733784141(いよいよ花見、皆は良い宵)=22年

 心がけていることがある。千葉笑いのルーツは時の権力者への不満を言い合い、笑い合う奇習で、千葉市の千葉寺で江戸時代から続く。「権力への風刺という原点を大切にしたい。新聞の社説とは違う文字の力が、そこにある」

 ニーサ、ニーサと 株買えなんて なにさ八百屋で 蕪(かぶ)を買う=24年

 1月の新春どどいつ特集では、国が力を入れるNISAをちくりと刺した。

 会社員時代は通勤途中に作品を考えていたが、今は布団に入って寝るまでの間に言葉を練る。「ぼけないための薬にもなっていますよ」と笑う。

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