政令市が県から分離? 神奈川県と川崎市が「特別市」構想めぐり攻防
政令指定市が都道府県から分離する「特別市」制度の実現をめざし、川崎市の福田紀彦市長がアクセルを踏んでいる。一方、政令指定市を三つ抱える神奈川県は警戒感を強めており、県内首長を舞台に双方が「多数派工作」を繰り広げている。
昨年12月。福田氏は県庁を訪れ、県の新年度予算編成に向けた要請書を提出した。毎年恒例の要請活動だが、初めて特別市制度に言及。要請書にも「県と連携して調査・研究をしたい」と盛り込んだ。
武井政二副知事は「見解の相違があるものの、協議は引き続き行っていきたい」と応じた。
特別市とは市内で現在、県が担っている仕事を市が担い、権限と財源を一本化する構想だ。全国20の政令指定市でつくる指定都市市長会が、現在の政令指定市や、東京23区の特別区を準用した「特別区」(都構想)とは異なる制度として特別自治市を提唱。その後特別市に名称が変わった。
指定都市市長会は2021年に「(県と指定都市との)二重行政の解消および効率的かつ機動的な大都市経営の推進のために非常に有効」とする最終報告をまとめ、法制化案を示した。
その翌年に指定都市市長会のプロジェクトリーダーに就いたのが福田氏だ。市に特別自治市の推進担当を置くなど、取り組みを加速している。
20年前の「最後の知事になる」発言がきっかけ
なぜ、特別市なのか。
福田氏によると、きっかけは…