岩宿遺跡の石器が国登録有形文化財に 文化審議会答申
角津栄一
日本文化の起源が旧石器時代にまでさかのぼることを立証した岩宿遺跡(国史跡、群馬県みどり市笠懸町)で収集された石器について、国の文化審議会は15日、国の登録有形文化財(美術工芸品)に選ぶよう答申した。県内で美術工芸品が登録されるのは初めて。
県によると、対象となるのは、旧石器時代の発見に大きく貢献した在野の考古学者相澤忠洋氏(1926~89年)が収集した考古資料約3万9300点(相澤忠洋蒐集(しゅうしゅう)考古資料)。
日本旧石器学会によると、太平洋戦争が終わる頃までは、日本列島には、1万年以上前の旧石器時代に相当する文化はないと考えられていた。
相澤氏は46年、岩宿遺跡の切り通しの道に露出していた赤土(関東ローム層)から石器を採取した。これを受けて49年、相澤氏と明治大学が本格的に岩宿遺跡の発掘調査をしたところ、1万年以上前にできた関東ローム層の中から石器が出土。日本列島にも旧石器時代が存在することがわかった。
明治大学博物館所蔵の石器は、「岩宿遺跡出土品」として国指定重要文化財となっている。
美術工芸品は、建造物以外の有形文化財の総称で、石器などの考古資料も含まれる。