写真・図版

吹き飛ばされた子どもたちはハマスなのか 絶望の街ガザからの報告

有料記事イスラエル・パレスチナ問題ガザ南部ラファ=ムハンマド・マンスール 構成・高久潤

 イスラム組織ハマスの奇襲に端を発したイスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの報復攻撃が始まり、7日で半年となる。ガザでは3万3千人以上が犠牲になってもなお戦闘に終わりが見えない。避難民ら150万人が身を寄せる最南部ラファの状況を、ムハンマド・マンスール朝日新聞通信員(28)が報告する。

[PR]
【動画】ガザ南部の避難民キャンプ 軍事衝突から半年=ムハンマド・マンスール撮影

人々の心まで変えられてしまった

 イスラエル軍の攻撃が始まってからのこの半年で、ガザは大きく変わった。あまりにも多くの罪のない人々が殺された。街は、空爆や砲撃で跡形もないほど破壊し尽くされた。そして生き残った人々の心まで、変えられてしまったと感じる。

 「イスラエル軍は、早く殺しに来てくれないだろうか」「長い時間をかけて、恐怖を与えられ、死んでいくことにもう耐えられない」

 1週間ほど前からだろうか。ガザ全域からの避難民が身を寄せる最南部ラファでは最近、そんな声が目立ち始めた。これまでになかったことだ。

 2週間ほど前、ラファの東の方で爆撃音がして、私は現場に向かった。飛び散ったミサイルの破片、がれきにこびりついた大量の血痕……。もう、嫌と言うほど見てきた光景があった。巻き込まれた小さな女の子が病院に運ばれた。追いかけていくと、まもなくその子が亡くなったと聞かされた。

 「自分の家が爆撃され、自分…

この記事は有料記事です。残り1314文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
高久潤
エルサレム支局長
専門・関心分野
グローバリゼーション、民主主義、文化、芸術
  • commentatorHeader
    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2024年4月9日10時0分 投稿
    【視点】

     ガザで吹き飛ばされる子ども――同じ人間として恥ずかしい。高久さんの言葉が突き刺さります。  日本はすべきことをしているでしょうか。UNRWAへの資金提供を再開したのは良かったけど、そもそもそれを停止したとき、その理由をどこまで考え抜いたの

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    高久潤
    (朝日新聞エルサレム支局長=文化、消費)
    2024年4月7日9時9分 投稿
    【視点】

    エルサレムを拠点に、イスラエルとパレスチナを取材しています。 ガザについては、外部からガザの中に記者は入ることができないため、この記事を一緒に書いたマンスール通信員ら現地の記者たちが担っています。私たちは携帯電話がつながる限り、必ず毎日そ

    …続きを読む