園遊会の名札に「岸田文雄夫人」 フルネームなし 宮内庁の見解は

有料記事

小川尭洋 山下知子
[PR]

 天皇、皇后両陛下が春と秋に各界の功労者らを招いて開く園遊会。この4月に行われた春の園遊会で、参加者がつけていた「名札」をめぐってSNS上で批判が巻き起こった。参加者の配偶者の名札に本人の名前がなく、「○○夫人」などと書かれていたからだ。なぜ、フルネームを書かないのか。

「誰もおかしいと思わなかった?」 SNSで批判

 発端となったのは、園遊会に参加したある国会議員の男性がX(旧ツイッター)に投稿した岸田文雄首相夫妻との記念写真だった。

 写真では、岸田首相の名札には「内閣総理大臣 岸田文雄」とある一方、妻の裕子さんは「岸田文雄夫人」とあるだけで、本人の名前は記されていなかった。

 ネットメディア「コリア・フォーカス」編集長の徐台教(ソテギョ)さんは、この写真投稿を引用する形で、次のように批判した。

《写真の「岸田文雄夫人」という名札を見てクラクラした。日本社会の人権意識はどうなってるんだ。園遊会を準備する中で、誰もおかしいと思わなかったのか》

 記者が朝日新聞が撮影した今春の園遊会の写真を全て確かめると、招待客の妻だけでなく、夫の名札も本人の名前が書かれておらず、「○○夫君」とあった。

 徐さんの批判は拡散し、他のネットユーザーの間でも「パートナーを付属物扱いしている」「失礼だ」といった声が広がった。

 なぜ配偶者の名札にフルネームを書かないのか、記者は宮内庁に問い合わせた。

 宮内庁総務課報道室は、招待…

この記事は有料記事です。残り1084文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
小川尭洋
デジタル企画報道部
専門・関心分野
人種差別、海外ルーツの人々、歴史認識、政治と教育
山下知子
編集委員|週刊アップデート編集長
専門・関心分野
教育、ジェンダー、セクシュアリティ、歴史
  • commentatorHeader
    大川千寿
    (神奈川大学法学部教授)
    2024年5月23日17時40分 投稿
    【視点】

    内閣府男女共同参画局によると、結婚して姓を変える人は、女性が圧倒的に多く、2022年には全体の約95%を占めます。 もちろん、夫と同じ姓を名乗りたくて結婚するという人も一定数いるでしょうが、記事のような名前の取り扱いを受けた場合、その女性

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    首藤若菜
    (立教大学教授=労働経済学)
    2024年5月23日18時19分 投稿
    【視点】

    衝撃的なニュースでした。 「〇〇夫人」「〇〇夫君」と表記することは、この記事で指摘されている通り、性差別の問題もはらみますが、何よりも人権にかかわる問題です。名前は、個人のアイデンティティそのものだからです。こうした慣習がまだ残っているこ

    …続きを読む