第5回「父はウケたい芸人」 長男・賢作さんから見る谷川俊太郎さん

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聞き手・田中瞳子
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 《現代詩を歌うバンド「DiVa」の活動に、父・谷川俊太郎さんを引き込んだのは1996年ごろだった》

 「DiVa」は、ボーカルの高瀬“makoring”麻里子、ベースの大坪寛彦、ピアノの僕で、95年に結成したバンドです。

 当初は思うようにお客さんが集まらなくて、コンサート主催者の友人から「お父さんを連れてきてみたら」と言われたんです。僕も「あ、それおもしろいかも」と賛成し、実際にやってみたら歌と朗読を組み合わせるステージが新鮮でおもしろかった。

 それまで僕は、父の代表作くらいは知っていたけれど、詩集を進んで読むことはなかった。子供の頃は、父の職業を聞かれても「詩人」と答えるのが恥ずかしくて。他の言い方はないのかと本人に聞いて「著述業」と答えていました。

 デビューから70年以上、読者を魅了し続けてきた詩人、谷川俊太郎さんについて、ともに作品を手がけたり、対談したりしてきた5人に聞くインタビューシリーズ。最終回は谷川さんの長男で音楽家の谷川賢作さんです。

 でも、30代半ばを過ぎていっしょに活動を始めてから詩を読んでみたら、いい作品がたくさんあるんですよね。父の詩に音楽をつけて歌にすることもしてきました。

 ちょうどその頃、父は絵本作…

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