第3回谷川俊太郎さんと対談するとなぜか人生相談に 歌人・枡野浩一さん

有料記事谷川俊太郎さんとわたし

聞き手・田中瞳子
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 《谷川俊太郎さんに初めて会ったのは18歳のとき。谷川さんのサイン会だった》

 詩集「よしなしうた」にサインしてもらいました。その後、歌人になってからは対談の機会を得たり、私のトークイベントに谷川さんがこっそり来てくれたりしました。

 対談するときは、なぜか私のプライベートがうまくいっていないタイミングが多くて。離婚して息子に会えなくなって落ち込んでいたり、親が体調を崩して倒れたり。いつの間にか対談の内容が私の人生相談になってしまうこともしばしばでした。本当は谷川さんも相談されて困っていたんじゃないかな。そんなことおくびにも出さなかったけれど。

 《2022年に刊行された谷川さんの詩集「となりの谷川俊太郎」では、思い出をつづった枡野さんのエッセーが収録されている》

 デビューから70年以上、読者を魅了し続けてきた詩人、谷川俊太郎さんについて、ともに作品を手がけたり、対談したりしてきた5人に聞くインタビューシリーズ。3回目は、歌人の枡野浩一さんに聞きました。

 エッセーにも書いたのですが、私が歌人デビューしたばかりの20代のころ、「この才能ある若い歌人にお金を振り込みたいかたはご自由にどうぞ」と、インターネットで口座番号を公開しました。そうしたら谷川さんが振り込んでくれたんです。しかも金額の数字が、たしか初めて会った日の日付になっていて。粋なんですよね。

 昔の詩人は夭折(ようせつ)…

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