2種のスローカーブで「自分を主張」 霞ケ浦・市村、流されはしない

大坂尚子
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(13日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 霞ケ浦5ー4智弁和歌山=延長十一回タイブレーク)

 マイペースで流されない性格だ。全国制覇経験のある智弁和歌山が相手でも、霞ケ浦の2年生左腕・市村才樹(さいき)は平常心だった。「5日前からジョックロックを聴いて寝た」と明かし、相手の名物応援曲を楽しむ余裕さえあった。

 早くも一回に手ごたえをつかんだ。2死一塁で相手の4番花田悠月を右打席に迎えた場面だ。内角低めへの94キロのスローカーブを振らせて追い込み、次は120キロ直球を外角いっぱいに投じて見逃し三振を奪った。「自分でも智弁を抑えられるんだな」

 187センチ、76キロと恵まれた体格だが、本格派というよりは技巧派。武器は2種類のスローカーブだ。

 1年秋にプロ野球選手のスローカーブを集めた動画を見たのが「出会い」。特にオリックス宮城大弥を参考にした。「プロの一流打者でも打てない。投げられれば武器になる」。単に球が遅いだけでは意味がないと冬の間に練習し、「回転数が多くて、打者の手元でぎゅっと落ちる」軌道を習得した。

 腕の振りを変え、80キロ台と90キロ台の2種類のカーブを操る。直球との球速差は最大で40キロ以上だ。緩急巧みに相手打線の打ち気を誘い、この日は七回までは散発3安打に抑えた。八回に2者連続本塁打を浴びるまでは「完璧」。「強打者ほど緩い球が効く。十分通用した」と自己評価した。

 速球派に憧れたこともある。でも、「自分はそうなれない。それなら自分を主張できる投球をしたい」。やはり、流されはしない。

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この記事を書いた人
大坂尚子
スポーツ部
専門・関心分野
野球、アメフト、フィギュアスケート、陸上