富岡鉄斎の豪快さ、収集家との親交も 長浜で没後100年企画展
「最後の文人画家」といわれる富岡鉄斎(1836~1924)の没後100年企画展が、滋賀県長浜市の長浜城歴史博物館で開かれている。市内の布施美術館が非公開コレクションを出展。収集した初代館長と晩年の鉄斎との親交も伝える。
鉄斎は江戸後期、京都生まれ。儒学者や神官を務め、大正13年に没するまで書画を多く残した。
長浜出身の医師、布施巻太郎(1881~1970)は鉄斎に心酔し、勤務地の福井県敦賀市から京都へ通い、鉄斎晩年の2年8カ月、美術を通して交流を深めた。作品を贈られ、1960年に布施美術館を開館した。
見どころの一つは、画風の移り変わり。41歳で描いた山水図「渓居清適図(けいきょせいてきず)」は、晩年より線が細く、繊細な印象だ。88歳での「蓬莱僊境図(ほうらいせんきょうず)」は、自由で豪快な筆致だ。
仙境のような景勝地を描いた代表作「耶馬渓真景図巻(やばけいしんけいずかん)」「妙義山・瀞八丁図(どろはっちょうず)」も展示する。
学芸員の坂口泰章さん(36)は「2人の親交と、鉄斎が作品に込めた教訓やメッセージを読み取ってほしい」と話す。
11月24日まで。3期に分けて137点を展示替えする。学芸員による説明会や講座は9月28日と10月12日、11月9日にある。
入館料410円、小中学生200円(長浜市、米原市の小中学生は無料)。月曜休み、祝日の場合は翌日が休館。同博物館(0749・63・4611)。