第2回黄金のシャベルに失望した街 トランプ氏超えの成果、語らぬハリス氏
A-stories「メイド・イン・アメリカ 激戦3州を行く」
米大統領選の勝敗を決してきた三つの州(ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン)は、製造業の衰退と向き合ってきた地域でもある。「メイド・イン・アメリカ」の現場から、トランプ氏とハリス氏の戦いを追う。
低木や雑草が生い茂るばかりの巨大な空き地が、どこまでも広がっていた。米中西部ウィスコンシン州の最大都市ミルウォーキーから南へ約40キロに位置するマウントプレザントは、米製造業の現在地をまざまざと示す。
「トランプは、投資がすぐそこにまで来ていると約束した。だが、彼がもたらしたのはガラクタだけだった」。地元の建設作業員リコ・エドモンドソン(51)はそう言う。
2018年6月28日。当時の大統領トランプは、黄金色のシャベルでこの土地に鍬(くわ)入れをしていた。iPhoneの受託生産で知られる台湾の大手メーカー、鴻海(ホンハイ)精密工業が計画する大型液晶パネル工場の起工式だった。トランプは鴻海の進出を「世界8番目の驚異だ」と述べ、「世界の七不思議」に引っかけて何度も称賛した。
総投資額100億ドル(当時のレートで約1.1兆円)、1万3千人の雇用創出――。華々しく打ち出された経済効果に、地元は沸き立った。トランプは鴻海トップと自ら交渉してきたと胸を張り、「メイド・イン・USA! 我々はいま、米国第一主義の成果をみているのだ。米国の産業力を回復させているのだ」と誇った。
だが、期待はほどなく失望に変わる。
トランプ流の「不都合な真実」
大型工場はいつまでたっても…