「産みたいと思える環境整えて」 NPO法人とちぎ多胎ネット代表
衆院選有権者の思い 南部裕子さん(46)
栃木県小山市に住む南部裕子さん(46)は、中学1年の双子の男の子を育てる母親だ。NPO法人「とちぎ多胎ネット」の代表を務める。子育てに奮闘して13年。「もっと子育てしやすい環境になったら」と感じてきた。
「小さな」悩みが多かった。例えば、親が1人のときに、双子をどうやってお風呂に入れたらいいのか。市に相談しても双子の子育て支援はなかった。2014年に多胎児の親が集まって情報交換するサークル「さくらんぼ小山会」を自ら立ち上げた。双子のベビーカーが通りやすい施設はどこかといった役に立つ情報が手に入り、悩みも相談できた。23年9月にNPO法人化した。
子育ての不安は尽きない。子育て費用もずっと気になっている。「多胎児の家庭はお下がりができず、同時期にお金がかかる」。物価高で中学入学時の費用は予想を超えた。自転車や夏と冬の制服、カバンなどをそろえると、2人で約50万円かかったという。食品の値上げも生活に響く。
国は児童手当の拡充などを進めてはいる。「お金をいただけるのはありがたい」と思う一方で、「産みたいと思える環境を整えてもらわないと」と考える。「お金をばらまいても少子化は止まらないのではないか」とも投げかける。
いまだに希望の保育園に入れない人たちがいる。多胎児家庭への対応を含めて東京などの方が行政の支援が手厚く、地域間格差も感じる。
政治が変えてくれるのか。「本当に私たち庶民の生活をわかってくれている政治家がいるのだろうか。誰に投票しても同じという感じがするんです」