「小さな悩みであるとしても…」 寺地はるなさんが小説に込める思い

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聞き手・大蔦幸
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 大阪の書店員らが、ほんまに読んで欲しい1冊を選ぶ「第12回大阪ほんま本大賞」に、大阪府内在住の作家、寺地はるなさんの「ほたるいしマジカルランド」が選ばれた。老舗遊園地を舞台に、不器用で悩みを抱えた従業員たちの日々を描く。誰もが抱える小さな葛藤が、ふとしたきっかけで前に進んでいく。作品に込めた思いを寺地さんに聞いた。

 ――老舗遊園地のモデルは、今年で開園112年の「ひらかたパーク」(枚方市)ですね

 遊園地を舞台にした小説をいつか書きたいと思っていたんです。テーマパークではない古いタイプの遊園地で、私の好きな場所の一つです。16年ほど前、夫と付き合っていた時、大阪出身の彼が「ひらパー、行こうか」って。「え? 何それ?」。それがひらパーとの出会いです。

 春と秋にはローズガーデンがあり、(当時は)菊人形もありました。遠足気分で子どもともよく行きました。地元の方も、たいてい行ったことがある。私は佐賀県の山のほうに住んでいたので、遊園地へ行くとなると、結構がんばって遠出していく。それが「ちょっと行こうか」でいける距離感にびっくりしました。

「なんのためにもならないものが…」

 ――どうして遊園地を舞台にしたのですか

 遊園地は楽しい場所なんです…

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