聖武天皇大嘗祭を語る木簡、出土したばかり「エース級」を異例の展示

今井邦彦
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 今年は聖武天皇(在位724~749年)の即位から1300年。今春、奈良市平城宮跡の南で出土した同天皇の大嘗祭(だいじょうさい)に関する木簡が、奈良市の奈良国立博物館(奈良博)と、奈良文化財研究所(奈文研)平城宮跡資料館で同時に展示されている。

 奈良博なら仏像館では特別陳列「聖武天皇の大嘗祭木簡」として、「大嘗贄(にえ)」や「神亀元年(聖武天皇の即位年)」などと書かれた木簡8点を展示。同館で出土したばかりの考古資料が展示されるのは異例で、書かれた内容が特に注目される「エース級」の木簡を選んだという。

 同館新館では聖武天皇の愛顧の品が並ぶ「第76回正倉院展」も開催中。どちらも11月11日まで。

 平城宮跡資料館では特別展「聖武天皇が即位したとき。」を12月8日まで開催している。前後半の2期に分けて、儀式のために各地から運ばれたイカやカツオ、栗、米、酒の荷札など、約20点ずつの大嘗祭関連木簡が並ぶ。

 注目されるのは「神御茵(かみのみしとね)」と書かれた木簡。茵とは寝たり座ったりする際の敷物で、大嘗祭で最も重要な秘儀の舞台となる、二つの正殿に設けられる「神座」に関わるものの可能性があるという。2点出土し、前後期に分けて展示される。

 奈良時代に即位した7代の天皇のうち、聖武を含む6代の大嘗祭は、同じ場所に大嘗宮を建てて営まれた。聖武の大嘗祭から1300年となる今月23日の日没後には、第2次大極殿跡南の大嘗宮跡などを舞台に「平城宮跡ナイト☆サイト☆ミュージアム」も開かれる。

 神野恵・展示公開活用研究室長は「平城宮が整備される過程と、聖武天皇の生涯は重なり合う。これまでの調査・研究の成果を見ていただければ」と話している。

 奈良博は会期中無休、観覧料一般700円、大学生350円(正倉院展のチケットでも観覧可)。平城宮跡資料館は月曜(祝日の場合は翌火曜)休館、入館無料。

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この記事を書いた人
今井邦彦
専門記者|歴史・文化財
専門・関心分野
歴史、考古学、文化財、サブカルチャー