柏崎刈羽原発巡る県技術委の報告書案「問題なし」に異論噴出、修正へ
東京電力柏崎刈羽原発の安全対策を確認する新潟県の有識者会議「技術委員会」(座長=小原徹・東京科学大教授)は6日、報告書のとりまとめ方を議論した。同原発の安全対策やテロ対策について「現時点で特に問題となる点はない」と結論づけた報告書案が県などから示されたのに対し、委員からは「そう言いきれるのか」と異論が噴出。表現を修正することになった。
報告書案は128ページ。同原発の耐震評価や水素爆発対策など22の確認項目が並ぶ。事務局を務める県が今年8月に技術委に示した素案をもとに、県と小原座長が相談し、報告書案を作成した。案では22の項目すべてについて、技術委の所見として「現時点で特に問題となる点はないと考える」などとおおむね肯定的な文言を記載。全体所見としては「総じて、現時点で『特に問題となる点はない』との結論に至った」と記した。前回の技術委で、委員から「我々がどう考えるか、所見をまとめる必要がある」と意見があり、それを踏まえて加筆したという。
だが、新たに加わった所見には異論が相次いだ。中でも意見が集中したのは、福島第一原発事故を起こした東電に原子炉を運転する「適格性」があるかについての項目。報告書案は「問題となる点はない」としたが、岩井孝委員は「東電が適格性があると言い切る自信はない。社会的信頼があって成り立つものだ」として、表現の変更を求めた。
中島健委員は「委員会として適格性に問題がない、と言いきることが難しく、思い悩んだ」と説明。原子力規制委員会が適格性を認めた判断に限定して「判断が妥当と確認した」という表現ではどうかと提案した。別の委員は「規制委は調べたが、ここ(技術委)ではチェックしたわけではない。補足してはどうか」とも述べた。一方、別の委員からは「規制委の判断に対しては異論もあった。規制委の考えを尊重する、くらいではないか」との意見も出た。
このほか、豊島剛志委員は同原発ではスマホの不正持ち込み事案などが続いていると指摘。「問題がない、と書いていいのか疑問が残る」と語った。
この日の技術委では、22項目中、11項目を今後修正することになった。地盤の断層に関する耐震評価の項目については、議論を次回に持ち越した。
小原座長は終了後の取材に、報告書案について「議論が起きるだろうと当然、考えた。たたき台がないと議論が始まらない。非常に深い議論ができた」と話した。報告書のとりまとめ時期については、明言しなかった。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【初トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら