五島のツバキ油づくり最盛期 「甘い風味」蒸して搾る伝統製法
エリアリポーター・梶山王
五島特産のツバキ油の搾油が最盛期を迎え、長崎県五島市平蔵町の今村椿製油所では早朝からツバキ油の甘い香りが漂う中、作業が続いている。粉砕機で粉状にしたツバキの種を蒸して、冷めないうちに玉締め機と呼ばれる機械で圧搾。和紙で濾過(ろか)して、黄金色のツバキ油ができあがる。
同製油所では主に焙煎(ばいせん)製法の機械で搾油するが、昔ながらの玉締め製法で蒸しあげて作ったツバキ油は「甘みがあり風味がよい」と好評で、3割ほどを玉締め製法で搾油する。玉締め製法は蒸し加減が難しく、長年の経験が必要だという。
ツバキ油には、皮膚の成分に近く、血中の悪玉コレステロールを減らす効果があるとされるオレイン酸が豊富に含まれ、食用のほか頭髪や肌の保湿にも使われる。
製油所の今村光次さん(74)によると、最近はツバキの実の収量が少なめだという。「原因はよくわからないが、以前は重ね着をして実を取っていたのに、今年は熱中症が心配なほど暑かった」と気候変動の影響を心配していた。