養護施設や里親を巣立った若者に居場所を 県が支援事業所を開設

川村貴大
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 児童養護施設や里親などから巣立った子どもや若者に居場所を提供し、相談に応じる愛媛県自立支援拠点事業所「クマノミ」(松山市二番町3丁目)がこのほど、開設された。

 高校卒業などを機に里親といった社会的養護から離れて独り立ちする子どもや若者は、「ケアリーバー」と呼ばれる。

 県子育て支援課によると、社会的養護を受ける人は県内で487人(3月時点)。昨年度は40人が就職や進学を理由に独り立ちした。

 ケアリーバーは親族から十分な支援が受けられず孤立しがちで、離職率が一般よりも高く、経済的困窮といったトラブルに直面するケースも多いという。

 11月8日に開設されたクマノミの目的は、そんなケアリーバーの支援だ。今治市で自立援助ホームなどを運営する一般社団法人「いこなす」が、県の補助事業として担う。

 交流スペースを開放して、定期的に無料の夕食会を開いたり、弁当を配ったりするほか、来所や電話、SNSで日常生活や就労などに関する相談を受ける。ハローワークや就職面接に職員が同行する支援も行う。

 支援対象はケアリーバーだけでなく、児童相談所の一時保護を受けたことがある人や、虐待経験がありながら公的支援を受けてこなかった人なども含む。

 クマノミを利用する20代の女性は、「私は元々、今日寝るところ、食べるものにも困っていた」と打ち明ける。

 母子家庭で育ったが、高校生のころに母親が失踪。卒業後、派遣社員として働いたが、契約が切れると金銭的に行き詰まった。母親とは連絡が取れず、行き場を失った。

 3カ月ほど車中泊でしのいだ後、昨年6月に友人の母親に「いこなす」を紹介された。

 現在は同法人で弁当配達の仕事をしながら、先月プレオープンしたクマノミに週1回ほど通う。「クマノミは気軽に立ち寄れる場所。とても生活の助けになっています」と話す。

 県子育て支援課の阿部淳子課長は「虐待など非常に困難な養育環境に身を置かざるを得なかった方々に寄り添いながら、伴走型支援を提供できるよう努めたい」として、気軽な利用を呼びかける。

 問い合わせは、クマノミの電話(080・3921・3686)で、火・水曜以外の午前10時~午後6時に受け付ける。

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この記事を書いた人
川村貴大
松山総局|県政・教育担当
専門・関心分野
教育