日本料理で訪日外国人増やすには 辻調トップが万博で試す「切り札」

有料記事大阪・関西万博への直言

聞き手・石田耕一郎
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 大阪・関西万博を、海外の新たな日本ファンをつくるきっかけに――。日本政府や日本国際博覧会協会がめざすこの目標の達成には、どんな努力が必要なのか。政府のクールジャパン戦略に提言してきた辻調理師専門学校の辻芳樹校長が考える「切り札」とは。

――万博の活動の一環で今年3月、「世界に共有したい日本発の食のリスト」として、高野豆腐や寒天など25品目が発表されました。

 「EARTH FOODS 25」と題した食の未来予想図を描こうとする取り組みです。万博のテーマ事業を担う放送作家小山薫堂(くんどう)さんに協力させていただき、検討委員を務めています。「安定して供給し続けられるか」や「日本の歴史や伝統に根ざしているか」などを選定の条件とし、料理人や大学教授ら計9人で80近い食材を出し合った後、絞り込みました。

――小山さんは日本国際博覧会協会から独自パビリオンづくりを頼まれています。今回のリストにはかんぴょうやこんにゃくなども含まれ、全体的にかなりシブい品ぞろえですね。

 海外の料理とは親和性がなく、外国の料理人にはどう使えばいいのかわからない食材が並んだと思います。また、しっかり調べないと、それぞれの食材の背景にある地域性や民族性、歴史などがわからないという点も共通しています。豆乳など海外にある食材も含まれますが、概して「すごくジャパン」な品々です。万博に向け、これらの食材を今後、国内外にどうアピールしていくのかが課題になります。

日本発信で売り込むのは素材ではなく……

――海外市場で売れている食材を選んだ方が、外国人の食いつきがよく、利益につながったのではないですか。

 今回は選考メンバーの間で、海外に売ることを目的に選ぶことはしないでおこうという共通認識がありました。私はここ数年、日本政府が設立し、日本文化をいかに発信、紹介できるかを考える「内閣府クールジャパン官民連携プラットフォーム」の共同会長を務めてきました。そうした場でも言い続けてきたのですが、「売れさえすれば、日本文化の発信につながる」という考え方には反対しています。

――でも、玄人好みの食材で外国人を魅了できますか。日本料理はそこまで世界で認知されているのでしょうか。

 かつて海外で知られた日本料…

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