宿泊税条例案に疑問の声「先行自治体の納得得ていない」北海道議会

長谷川潤
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 北海道が提案した宿泊税条例をめぐり、道議会で疑問の声が相次いでいる。先行して導入した倶知安町と徴税方法をめぐり、折り合いがつかないまま提案に踏み切ったからだ。3日まで行われた一般質問では、会派を問わず道の対応への質問が相次いだ。

 「信頼関係にどれほどの影響を及ぼすことになるのか、その重大性を知事は理解していないのではないか」

 宮下准一議員(自民)は語気を強めた。鈴木直道知事が第3回定例会(9月~10月)で、道がめざす「段階的定額制」とは異なる徴税方法である「定率制」を採用する倶知安町とは調整が必要で、条例提案までに合意できる考え方を示すと答弁していたからだ。

 ところが、「道が異なる方式を採用すれば、町内の宿泊業者が混乱する」と訴えていた倶知安町との協議を打ち切り、道は条例案を提案した。

 「今定例会に固執せず、一定の合意あるいは、確信を得てから提案はできなかったのか」。渕上綾子議員(民主)も疑問を投げかけた。

 鈴木知事は、倶知安町の提案を検討したが、制度設計上の課題を解消できなかったと説明。その上で、道内約20の自治体が道と協議しながら2026年4月の宿泊税導入を目指しているが、道が決断を先送りすれば、各自治体の計画に遅れが生じるとして、提案に踏み切ったと述べた。

 倶知安町や地元の観光、商工関係者は、道の提案表明後、道議会の会派を訪ね、訴えた。

 「道は全く同じ方向を向いていないにもかかわらず議論を打ち切った」

 鈴木知事の答弁中、議場にはヤジが飛び交った。定例会で答弁した内容を守らなかったことに「議会軽視だ」との声も飛んだ。条例の提案には反対しないとした会派も「道の調整不足という指摘はせざるを得ない」と苦言を呈した。

 「合意に至らなかったことは反省しなければならず、大変心苦しく思う」。答弁で鈴木知事は繰り返したが、今後については、課題解決に向けて努力を重ね、理解を得られるように説明を尽くすと答えるにとどまった。

 今後、条例案は付託された委員会で審議されることになる。

宿泊業者、新税導入後の負担「わからない」

 倶知安町のように徴税方法が異ならなくても宿泊税の導入には、宿泊業者への負担が予想される。新税導入の参考にするため道が実施したアンケートでは、負担について理解が進んでいない現状が浮き彫りになった。

 宿泊業者から936件の回答を得た。新税導入で必要になる改修については、既存のレジシステムの改修(21.8%)、新たなレジシステムの導入(11.5%)などの回答があった一方で、最も多い37.6%が「わからない」と答えた。改修にかかる経費についても67.3%が「わからない」と答え、宿泊業者にも理解が進んでいないことがわかった。

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