「慎重さ欠いた独断政治」が招いた非常戒厳 元駐韓国日本公使の見方
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日夜、非常戒厳を敷きました。韓国国会は無効を決議し、尹氏はわずか6時間で非常戒厳を解除しました。なぜ、このような事態に至ったのか。韓国で44年間暮らした町田貢・元駐韓国日本公使(89)は「慎重さを欠いた独断政治の結果」と語ります。
――町田さんは1964年から99年にかけ、日本の外交官として韓国に断続的に勤務しました。
韓国は過去、1948年の建国から80年に「粛軍クーデター」で政権を握った全斗煥(チョンドゥファン)大統領の時代にかけ、計16回の戒厳令を敷いたと記憶しています。今回の「非常戒厳」は当時の戒厳令とあまりに違うので、非常に戸惑いました。
――何が違うのでしょうか。
過去の戒厳令は、国内が騒乱状態になり、警察力で抑え込めなくなった際に、軍を投入するために布告されました。
過去、戒厳令が布告されると、大通りの交差点や駅、市役所前などに軍部隊が戦車と共に配置されました。人々は発砲の危険を感じ、自然とデモや集会の動きが止まりました。
戒厳令は長くて1カ月ほどで、騒乱状態が収まるにつれ、戦車や部隊の数も減っていき、最終的に解除されました。
しかし、私の印象では、今回…
- 【視点】
町田貢氏は<尹氏が「非常戒厳」とはどういうものなのか、理解せずに布告に踏み切った可能性があります>と述べていますが、とても説得力があります。韓国の政治と社会の内在的論理に通暁した町田氏にしかできない見方と思います。 私が外務省に入省した
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