販売価格は79億円 ビリー・ジョエル氏が夢の豪邸を手放す理由

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Rukmini Callimachi/The New York Times 抄訳=城俊雄/朝日新聞GLOBE編集部
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Billy Joel Is Selling the Mansion He First Saw While Dredging Oysters

 当時、ウィリアム・マーティン・ジョエルの名で知られていた10代の少年は、労働者階級が暮らす郊外地域のヒックスビル(米ニューヨーク州南東部、ロングアイランドにある)に住んでいた。家族は非常に貧しく、テレビさえ持っていなかった。彼は最低賃金で、海底からカキを採取するハードな仕事に従事していた。

 カキ採取用の浚渫(しゅんせつ)船は、ロングアイランド海峡[Long Island Sound]を縦横に動き回っていた。海峡には、(英文で使う)コンマのように曲がった湾があり、それは米国屈指の超高級住宅に面している。船上のジョエル少年からは、威風堂々としたレンガ造りの豪邸が見えた。

 「金持ちのバカ野郎たち[Rich bastards]」と彼は内心思った。「俺はあんな家に住むことは絶対にないだろう」

 それから数十年の時が流れ、ヒットチャートのトップ40入りした数十の人気曲を世に送り出し、「オイスターマン(カキ採取人)」から「ピアノ・マン」(訳注:大ヒット曲のタイトル)へと変貌(へんぼう)を遂げたビリー・ジョエル氏は2002年、センター島に立つまさにその豪邸を手に入れた。

ジョエル氏は、二重の意味を持つ名前を豪邸に付けたそうです。その意味や手放す切実な理由を、現場を訪問したNYT記者が写真を交えて解説します。

 現在75歳のジョエル氏は…

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