中1の自殺めぐる控訴審判決 遺族の控訴を棄却「いじめ認識できず」

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渡辺杏果 寺澤知海
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 名古屋市で2018年に市立中学1年の女子生徒が自殺したのは学校側がいじめを放置したのが原因だなどとして、両親が市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、名古屋高裁であった。吉田彩裁判長は、「いじめは具体的に予見・認識できなかった」として一審・名古屋地裁判決を支持し、両親の控訴を棄却した。両親は上告する方針。

 控訴審判決などによると、斎藤華子さん(当時13)は17年9月に大阪府から名古屋市名東区の中学校に転校。同11月下旬から部活内の生徒から無視されるなどのいじめを受け、部活の合宿が予定されていた翌18年1月5日の朝に亡くなった。市教育委員会の調査委員会が19年4月、いじめはなかったと認定。だが市の再調査委は21年7月、いじめを含む様々な要因が複合した結果、自殺に至ったと認めた。両親は翌年、「学校側が対処していれば、命を救えた可能性が高い」などとして市を提訴した。

 吉田裁判長は、華子さんがいじめを受ける前に学校が実施したアンケートなどで、いじめをうかがわせるような記載はなかったとし、学校側は当時いじめを予見できなかったと指摘した。また、認識もできなかったとして、安全配慮義務違反には当たらないとした。

 判決後に名古屋市内で開いた会見で、華子さんの父・信太郎(52)さんは「いつになったら娘の死を悲しむことができるのか」と話した。

 広沢一郎市長は取材に「哀悼の意を表し、ご遺族にはお悔やみ申し上げたい。反省すべきところは反省して、中学生が悩むことのない学校生活を送ってくれるようにしていきたい」と述べた。

 会見で信太郎さんは、ほほえむ華子さんの遺影を前に河村たかし前市長や広沢市長が選挙で掲げた「一人の子どもも死なせない」という公約に触れ、「公約は果たされていない」と訴えた。

亡くなる前日に話した振り袖の色

 華子さんは生きていれば20…

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この記事を書いた人
渡辺杏果
名古屋報道センター|司法担当
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司法、地方、街